出版社:みすず書房
トマス・S・クーン・著・青木薫・訳
2023年6月9日 ISBN:9784622096122
世界観の変わり方を語ることで、世界を変えてしまった本である。新しい読者への案内としてI・ハッキングによる「序説」を巻頭に付した新版(50周年記念版)。クーンの語りをこまやかに掬い上げたクリアな新訳でお届けする。 原著初版刊行から半世紀以上が過ぎ、その影響はあらためて意識しがたいほど私たちの社会に広く深く浸透している。今日の読者の読み方は、著者の想定をはるかに超えて多様だろう。あなたはどんな動機でこの本を手に取るだろうか。科学の進歩とは何かを、根本から見つめてみるためだろうか。「パラダイム」「通常科学」「危機」といった概念装置についての、クーン自身の洞見に触れるためだろうか。ニュートンの「革命」、ラヴォアジエの見た「アノマリー」など数多の歴史的事例を手がかりに、著者の目の覚めるような理論的謎解きを追ってみるためだろうか。20世紀のもっとも影響力の偉大な書に数えられる本を読むという体験を求めてだろうか。 どんな動機で手に取るにしろ、その期待が裏切られることはない。本書のダイナミックでありながらも周到な議論が描きだす科学観は、すべての読者を驚かせ、つねに刺激しつづけるだろう。 9784622096122
第I節 序論──歴史に与えうるひとつの役割
第II節 通常科学への道筋
第III節 通常科学の性質
第IV節 パズル解きとしての通常科学
第V節 パラダイムの優位性
第VI節 アノマリーと科学的発見の出現
第VII節 危機と科学理論の出現
第VIII節 危機への応答
第IX節 科学革命の性質と必要性
第X節 世界観の変化としての革命
第XI節 革命の不可視性
第XII節 革命の終わり方
第XIII節 革命を通しての進歩